フリーライド競技はいまや世界中で約200箇所で行われており、選手の数も約4000人もいる人気種目になっている。
その世界ランキングのトップ 50人のみが出場できるのが
Freeride World Tour(以下FWT)だ。
世界5カ国で行われ、最終戦にはFWTの発祥の地 スイス ヴェルビエで総合優勝を争う。
その第一戦の会場がここ日本の白馬だったのだが、今年はコロナウィルスによる渡航制限の影響で開催することができなかった。

今回行われたのはそのFWTの予選リーグ Freeride World Qualifier その中でも4スターと呼ばれる一番上のクラス。
雪上の総合格闘技とも表現されるフリーライド。
アルペン、スキークロス、モーグル、フリースタイルと様々な経歴を持ったエキスパートがが集る、雪山での総合力を競い合う究極の大会だ。
今回出場したPeakPerformanceでサポートする選手は、桑原裕希、梶田亜蓮、佐々木玄、古谷大地、そして招待選手に中川未来の計5名。
ルールはシンプル
決まっているのはスタートとゴールのみ、無数に存在する滑走ラインから選手は自由に理想のラインを1本イメージして滑り降りてくる。
競うのはそのライディングの全て。
ただ早ければいいとかジャンプが決まればいいという単純なものではない。
ジャッジはラインの難易度、コントロール、流動性、ジャンプ、テクニックといった5つの採点基準から総合的に判断し順位をつけていく。
会場となるのは白馬八方尾根スキー場のバックカントリーエリア、「崩沢」と呼ばれるまさに手付かずの大自然。
スキー場の一番上までリフトで上がり、さらにハイクアップして標高1750mのスタート位置につく。標高差330m 最大斜度は約45° いわゆる断崖絶壁。
さらに選手は事前に練習ができない。
大会初日に行われるのはフェイスチェックと呼ばれるいわゆる下見。
選手は大会が行われる斜面をジャッジが見る位置から見て地形や雪質を見極める。
事前に大会斜面にはいることは許されていない。
もちろん地元をよく知る優秀な山岳ガイド達が万全の準備を整えた上で行われるのだが
選手達は雪崩事故にあった場合を想定した講習も受けなくてはならない。
ビーコンを操作して救助の練習をする佐々木玄
大会期間は1/12~15の4日間。
そのなかでベストなコンディションの日に開催される。
しかし今回は強風に悩まされた。
フェイスチェックの翌日13日に開催される予定だったのだが、先にスタートするスノーボードの選手が山頂に上がった時点で強風によりリフトが運行不能に。
止むを得ずこの日は急遽キャンセルとなった。
白馬八方尾根スキー場をコースサイドのギャップで当て込みを楽しむ 梶田亜蓮と中川未来
左から桑原裕希、古谷大地、佐々木玄。
翌朝、安全管理チームがまだ暗いうちから現場にあがり状況を確認する。
だが、翌日も強風のため開催ができなかった。
そして15日 大会期間最終日。予報は晴れ。
選手達早朝6時のゴンドラに乗車する。
山頂についてもまだ薄暗いが、晴天 無風の最高のコンディション。
スキーヘッドジャッジは PeakPerformance ライダー 佐々木徳教
フリースタイル、フリーライドと経験豊富でプロライダーや他ジャッジからも信頼が厚い。
そして、もちろんここもバックカントリーエリア。ジャッジ席にテントもなければ椅子もない。
午前7:30分 あたりが明るくなるのを待って ついに最初のライダーがドロップした。
ニセコ出身のアップカマー 古谷大地
ライディングムービーはこちら→
【ディレイライブ 古谷大地】
巨大なクリフからドロップする桑原裕希
ライディングムービーはこちら→
【ディレイライブ 桑原裕希】
クリフバンドの着地からすかさず次のジャンプを決める 梶田亜蓮
ライディングムービーはこちら→
【ディレイライブ 梶田亜蓮】
佐々木玄、スタートの瞬間
佐々木玄の特大バックフリップ
ライディングムービーはこちら→
【ディレイライブ 佐々木玄】
ギャップを利用し大きなジャンプを決める中川未来
ライディングムービーはこちら→
【ディレイライブ 中川未来】
写真はHeart Films の田島継二氏
昨今の状況から無観客試合となってしまったことは残念だが、日本中からプロが集まり複数台のドローンを駆使して撮影した映像は実際の現場で見るのとまた違った迫力がある、間違いなく息を飲むだろう。
実際の大会の様子はディレイライブを是非みて欲しい。
ライン選びやスピード感あふれるターンに迫力のジャンプ、初めて滑る斜面でそれぞれのスタイルでパフォーマンスする選手達。
魅力はその自由さにある。
スキー男子 3位入賞に梶田亜蓮
スキー女子は中川未来が優勝と大会結果は本当に素晴らしいものだった。
そして大きな怪我や事故もなく無事に大会は終了したこと。
エクストリームな安全管理チームはじめ、どこよりもハードな大会を開催してくれた運営チーム、白馬村、スポンサーに本当に感謝したい。
そして、今後もフリーライド競技と選手達の活躍に是非注目して欲しい。